三重県四日市市の名物「なが餅」は、江戸時代から親しまれてきた伝統の和菓子です。
観光や帰省の際にお土産として選ばれることも多い一方で「どのお店で買えばいいのか迷ってしまう…」という声もよく聞きます。
そこで今回は、なが餅の二大老舗「なが餅笹井屋」と「金城軒 太白永餅」の特徴を比較しながら、それぞれの魅力をお伝えしていきます。
この記事でわかること!
- 四日市名物「なが餅」の魅力と特徴
- 老舗2店の味・こだわり・違い
- なが餅が買える場所と入手方法
- 自宅で楽しめるおいしい食べ方
さらに、なが餅を手に入れた後の立ち寄りスポットとして、四日市のおすすめグルメや観光地もあわせて紹介します。

地元民だからこそ伝えられる確かな情報なので、ぜひ参考にしてください!
四日市名物「なが餅」の特徴

四日市土産の定番として有名な銘菓「なが餅」。
細長く平たい独特の形をしており、表面には香ばしい焼き目がつけられています。薄いお餅の中には、ほどよい甘さの小豆の餡がたっぷりと包まれています。
お米の風味と餡の上品な甘さが際立つ、素朴でありながら、奥深い味わいが魅力といえるでしょう。
「なが餅」は江戸時代の旅人が愛した携帯食

「なが餅」の名は、東海道と伊勢街道の分岐点である日永(ひなが)に由来すると伝えられています。伊勢参宮の文化のなかで誕生し、現在も地域の味として親しまれています。
当時の巡礼者や武士にとって、手軽で腹持ちの良い餅菓子は旅の必需品でした。中でも、なが餅のように細長く平たい形状は、歩きながらでも食べやすく実用性に優れていました。

伊勢参りという一大ムーブメントが生んだ、地域の食文化を象徴する存在でもあるのです!
【笹井屋と金城軒】四日市の「なが餅」二大老舗を比較

四日市には、なが餅を代表する二つの老舗があります。地元民の間では「笹井屋派」か「金城軒派」かで好みがわかれるほど、それぞれ個性豊かな魅力があるのです。

ここからは、両店の歴史や味の特徴を詳しく解説していきます!
なが餅 笹井屋

なが餅のお店といえば、真っ先に挙げられることが多いのが「笹井屋」です。
470年以上にわたって地元で愛され続け、今や観光客からも注目される存在となっています。
伝統に裏打ちされた味わいと、柔軟な商品展開が特徴です。
【歴史】創業470年以上の伝統
「なが餅笹井屋」は1550年(天文19年)創業。戦国時代から続く老舗で、現存するなが餅店の中では最も古いとされています。
中でも有名なのが、戦国武将・藤堂高虎(とうどう たかとら)との逸話です。
若き日の高虎がこの餅を味わい、「武運の長き餅を食うは幸先よし」と喜んだと伝えられています。以来、なが餅は縁起の良い菓子としても親しまれてきました。
出典:【味】やわらかい餅と上品な餡の調和

笹井屋のなが餅は、やわらかくしっとりとした餅に、北海道産小豆のなめらかな「つぶしあん」が包まれています。甘さは控えめで後味がすっきりとしており、餅との一体感が特徴です。
繊細な口当たりと上品な甘みが絶妙に調和し、長く愛される理由がここにあります。
【特徴】季節の味も楽しめる多様性
伝統を守りながらも、時代に合わせた工夫を重ねているのも笹井屋の魅力です。
季節限定のなが餅シリーズでは、以下のように四季折々の風味を楽しめます。
商品 | 特徴 |
---|---|
【春】桜なが餅 | 桜の葉が香る上品な風味 |
【夏】抹茶なが餅 | 伊勢茶を練り込んだ爽やかな味わい |
【秋】栗なが餅 | ほっくりとした甘みが広がる栗の餅 |
【冬】焼き芋なが餅 | 香ばしく仕上げた冬限定の味わい |

訪れるたびに新しい味との出会いがあるのも、長年支持される理由のひとつですね!
太白永餅 金城軒

一方で、「なが餅といえば太白永餅!」と語る地元ファンも多く存在します。
金城軒は、明治時代に創業して以来、たった一つの商品に情熱を注ぎ続けてきた名店です。
シンプルながらも力強い風味が印象的で、初めて食べた人にも深く記憶に残る味わいです。
【歴史】明治創業の職人技
「太白永餅 金城軒」が創業したのは1868年(慶応4年)。日本が明治維新を迎え、近代化の一歩を踏み出した年にあたります。
「太白(たいはく)」という名は、ある漢学者がその味を称賛し「日永のなが餅のなかで一番」と評したことに由来します。
太白とは宵の明星=金星を意味し、「最上のもの」を象徴する言葉です。この名称には、作り手の誇りとこだわりが込められています。
【味】しっかりした歯ごたえと際立つ香ばしさ

金城軒のなが餅は、香ばしさと歯ごたえが際立つ一品です。
お餅は薄めで、両面をしっかり焼き上げることで、米の香ばしい風味が引き立ちます。袋を開けた瞬間に広がる香りだけでも、食欲をそそります。
餡は小豆の粒を適度に残した粗めの「つぶしあん」。甘さは控えめで、素朴で力強い味わいが口いっぱいに広がります。
【特徴】「太白永餅」にかけるこだわり
金城軒は、多品種展開をせず「太白永餅」一筋で勝負しています。
添加物は一切使わず、国産のもち米と北海道産の小豆のみを使用。素材の持ち味と焼きの技術だけで、味を追求し続けてきました。
シンプルだからこそごまかしがきかない……職人の技術がそのまま味に表れています。
「なが餅」は四日市のどこで買える?購入場所ガイド

自分好みのなが餅が見つかったら、次はどこで購入できるのかを確認しましょう。二つの老舗は販売戦略も対照的で、入手しやすさにも違いがあります。
それぞれ解説していきます。
「なが餅 笹井屋」の販売場所

なが餅笹井屋の商品は、四日市市内外のさまざまな場所で購入が可能。直営店のほか、百貨店や高速道路のサービスエリアなどでも取扱いがあるため、旅行の予定にあわせて立ち寄りやすいのが魅力です。
以下は、市内での代表的な販売スポットです。
- 直営店:なが餅笹井屋 本店
- 直営店:なが餅笹井屋 三ツ谷店
- 近鉄百貨店 四日市店
さらに、東名阪自動車道の「EXPASA御在所(上下線)」や伊勢自動車道の「安濃SA(上下線)」などでも販売されています。
「金城軒 太白永餅」の販売場所

金城軒の太白永餅は、地元である四日市においても基本的には本店でしか購入できません。
本店以外では、東京・日本橋にある三重県のアンテナショップ「三重テラス」などで、ごく希に取り扱われる場合があるのみです。
高速道路のサービスエリアでの販売はありません。以前はオンライン販売もしていましたが、現在は電話またはFAXでの注文のみとなっています。

まさしく、本店を訪れたひとだけが出会える特別な一品といえるでしょう。
四日市市民おすすめ「なが餅」のおいしい食べ方

「お餅は日持ちしないし、時間が経つとおいしくなくなる…」
そのように気にされる方もいるかもしれません。でも、なが餅はちょっとした工夫で、最後までおいしく楽しめます。
この章では、保存のコツや食べ方のアレンジなど、なが餅をもっとおいしく味わうための方法をご紹介します。
まずはそのまま!やわらかな食感を楽しむ
なが餅を最もおいしく味わう方法は、やはり購入したその日のうちに、お餅が一番やわらかい状態でいただくことです。
添加物を使っていないからこその、つきたてに近い素朴な風味となめらかな口当たりを堪能できます。
上質な日本茶を用意すれば、お互いの風味を引き立て合い、より豊かな時間を過ごせるでしょう。

まずはシンプルに食べてみて、なが餅本来の味わいをじっくりとお楽しみください!
地元民の定番「焼きなが餅」で香ばしさをプラス
購入して日が経ち、お餅が少し硬くなってきたら、ぜひ試していただきたいのが「焼きなが餅」です。
オーブントースターや、油をひかずにフライパンで軽く炙るだけで、驚くほどおいしさがよみがえります。

表面がきつね色になり、ぷくっと膨らんできたら食べ頃の合図です!
外側はパリッと香ばしく、中の餅はとろりとした食感を取り戻し、出来立てとはまた違う魅力を発見できます。
「なが餅」をすぐに食べきれない場合は冷凍保存しよう

なが餅の賞味期限は製造日から3〜4日と短めです。これは保存料を使っていない、本物の和菓子だからこそ。
たくさん購入して食べきれないときは、冷凍での保存がおすすめです。
以下の手順で保存すると、おいしさをキープできます。
- まだやわらかいうちに冷凍する
- 一本ずつ、空気が入らないようにラップでぴったり包む
- 包んだなが餅を冷凍庫に入れる
食べる際は、電子レンジを使わず、常温でゆっくりと自然解凍すると風味が損なわれません。
解凍後はそのまま食べても良いですし、少し炙って香ばしさをプラスするのもよいでしょう。
「なが餅」と楽しむ四日市の名物グルメと観光スポット

なが餅を堪能した後は、四日市のほかの魅力にも触れてみませんか。特におすすめのは以下の2つです。
- 四日市コンビナートの夜景
- 四日市の名物グルメ「とんてき」
地元で人気のグルメや、ここでしか見られない美しい景色が、あなたの旅をさらに思い出深いものにしてくれるはずです。
四日市コンビナートの夜景

日本の工業地帯を支えてきた四日市コンビナートは、夜になると幻想的な姿に変わります。無数のプラントや煙突の灯りが織りなす圧巻の光景は「工場夜景の聖地」として全国的に知られる程です。
なお、コンビナート夜景を効率的に見て回りたい方には、クルーズツアーがぴったりです。


船上ならではのアングルで臨場感を味わえる上、広範囲の工場群を短時間で楽しめますよ!
詳しく知りたいひとは、関連記事「四日市コンビナート夜景クルーズを楽しみつくす!3つの魅力と全プランの詳細」もぜひ参考にしてみてください。

四日市の名物グルメ「とんてき」

四日市を代表するB級グルメといえば、なんといっても「とんてき」です。分厚く切った豚肉をニンニクと一緒に濃いめのソースで焼き上げた、スタミナ満点の一品。
近鉄四日市駅の周辺にある人気の3店舗を紹介しますので、駅前でなが餅を購入する際にあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。
あさひ食堂

あさひ食堂は、地元の人々に愛される昭和31年創業の大衆食堂です。

名物の厚切りとんてきは、濃厚なタレとニンニクが利いており、四日市市のとんてき有名店としてメディアでもたびたび紹介されています。
トンテキ屋 ちゃん 四日市店

もとはラーメン専門店というルーツを持つ「ちゃん」ですが、パンチの効いたとんてきも代表メニューのひとつです。

グローブのような形をしたボリューム満点の厚切りポークは絶品です。
中華料理 一楽

本格中華の人気店「一楽」では、秘伝の甘辛ソースが光る“とんてき”が提供されています。
創業以来変わらぬ味を守り続けており、地元の学生や会社員に長年親しまれている名店です。

とんてき以外にも、ラーメンや炒飯といった定番の中華メニューも人気です。
四日市駅周辺のとんてき専門店については、こちらの関連記事「近鉄 四日市駅前で食べる本格とんてき店7選!ボリューム満点のやみつきB級グルメ」でも詳しく紹介しています。

四日市の歴史が詰まった「なが餅」を味わってみよう

なが餅は単なる地域のお土産ではなく、四日市の歴史の一部と言っても過言ではありません。巡礼者や武士が行き交った時代へと私たちを誘う、生きた歴史の断片でもあります。

素朴で、誠実で、そして心から満たされるこの菓子は、約5世紀にわたり多くの人を喜ばせてきました!
「笹井屋」と「金城軒」。二つの老舗がお互いに個性を尊重しながら共存している姿は、なが餅という文化が今も活気に満ちている証拠といえるでしょう。
なお、四日市には「なが餅」をはじめ、伝統と魅力にあふれたお土産が数多く存在します。
詳しくは、関連記事「【地元民が教える】四日市のお土産特集!スイーツ・雑貨・三重の人気名物も厳選」でチェックしてみてください。
